G3sewingで、この度、初*着物のアップサイクルにトライしてみました。今までも着物生地を使ってポーチやがま口バッグを作ったことは多々ありますが、お着物になる前の「反物」から作ったものでした。

着物をアップサイクルしようと思ったきっかけ
「G3sewingのことを知りました。母の着物をもらってくれませんか?」

今まで、何度かそのようなお問い合わせはあったのですが、「着物をほどいてバッグにするなんて、大切なものをそんなふうにしていいのだろうか?」着物に関する知識もな上、どう扱っていいのかという不安が大きく先立って、お断りばかりしていました。
でも同時に「そのようなお着物をそのまま眠らせておくのはもったいない」という気持ちも湧き上がりました。
G3sewingが作るがま口バッグに生まれ変わらせることで、この着物の持ち主さんの思いが、新たな形で誰かに愛されるかもしれない——
その考えが、G3sewingに勇気を与えてくれたのです。

それから、着物の生地をほどき、丁寧にバッグに仕立て直していきました。
ミシンで縫われたものと違い、ほどくことで本当に「着物って手縫いなんだ!!!」と当たり前のことなのでしょうが、もう本当に驚きました。
一針一針、昔の手仕事を感じながら、着物に込められた想いを受け継ぐような気持ちで作り続けました。そして、最終的にそのバッグが誰かの手に渡った時、その人にとっても「特別な存在」になることを願って。
この出来事がきっかけで、私は着物をアップサイクルすることの意義を深く感じ、もっと多くの着物に新しい命を吹き込むことを決心しました。
着物をほどくときの恐れと葛藤
着物をほどくとき、少しだけ手が止まります。この美しい布が、どれほどの時間と手間をかけて作られたのか。見えないところにまで丁寧に縫い込まれた糸、絶妙な色のぼかし、繊細な刺繍。どれも職人さんの手仕事の跡であり、「ほどいてしまっていいの?」と心のどこかで問いかけてしまうのです。
「私たちの手で解いてしまったら、もう元には戻せない。」そう思うと、まるでこの着物の歴史を断ち切ってしまうようで怖くなります。ましてや、着物を仕立てた職人さんの想いを考えると、それをバラバラにすることが冒涜のように感じたこともありました。
「これは一生もの」
と言われ、大切に仕立てられた着物。それを新しい形に変えることは、本当に許されるのだろうか?
でも、ふと考えました。このまま箪笥の奥に眠り続けるのと、新たな形になってまた使われるのと、どちらが幸せなんだろう?
袖を通されることのないまま、色褪せてしまうのは悲しい。それならば、今の暮らしに合った形に変えて、もう一度息を吹き込んであげたい。
「ほどくこと」は決して終わりではなく、「新しい命を吹き込むための第一歩」なのかもしれません。
そう思えるようになってから、私たちはそっと着物の糸をほどくようになりました。「大切にするからね」そう心の中でつぶやきながら、ゆっくりと、丁寧に。
着物をリメイクする理由
日本の着物は、本当に美しい。色彩の組み合わせ、柄の意味、繊細な織りや染めの技術——どれをとっても、ただの布ではなく「文化」が詰まっています。でも、その美しい着物の多くが、今の暮らしではなかなか袖を通されることなく、静かに箪笥の奥で眠っているのが現実です。
「このまま眠らせておくのはもったいない」
そう思ったのが、私たちG3sewingが着物をリメイクしようと思ったきっかけでした。
今の暮らしの中で活かす方法
昔は日常着だった着物も、現代では特別な機会にしか着ることがなくなりました。けれど、形を変えれば、今の暮らしの中でもっと身近に使うことができる。例えば、バッグや小物なら、気軽に持ち歩けるし、毎日使える。
着物の柄や色合いをそのまま活かしながら、新しい形に作り変えることで、特別な日だけでなく、普段の生活にも寄り添うものにできるのです。
「新しい形で残す」ことの大切さ
着物をそのまま受け継ぐのも素敵だけれど、時代とともに着る機会が減っていくのも事実。
ならば、大切なものを「今の時代に合った形」で残すことも、ひとつの継承の形ではないでしょうか。おばあちゃんが大切にしていた着物、お母さんが嫁入り道具に持たせてくれた反物——それを新しい形に仕立て直し、次の世代へとつなげていく。
「捨てるのではなく、生かす」ことで、思い出や想いも一緒に受け継がれていくのです。
伝統と今をつなぐアップサイクルの魅力
ただのリメイクではなく、「アップサイクル」という考え方が好きです。古いものをただ作り直すのではなく、新たな価値を加えて生まれ変わらせること。着物は、一枚一枚が特別で、同じものは二つとありません。だからこそ、それを新しい形にすることで、唯一無二のものが生まれる。
伝統を大切にしながら、今の暮らしに馴染むものに変えていく。その橋渡しをすることが、私にとっての「着物リメイク」なのかもしれません。
そして、何よりも。新しい形になった着物たちが、もう一度誰かの手に取られ、大切に使われる——そんな瞬間を見るたびに、「これでよかった」と思えるのです。
リメイクだからこそ気をつけること
着物をリメイクするということは、ただ古い布を新しくすることではなく、その布に込められた「想い」を受け継ぐことだと思っています。だからこそ、大切にしたいことがいくつかあります。
着物の柄や素材に込められた意味を尊重する
着物の柄には、一つひとつ意味があります。例えば、鶴は長寿や吉祥の象徴、梅は寒さの中でも咲くことから忍耐や希望を表します。結婚式用の着物に描かれた松竹梅や鶴亀の柄を、日常使いのアイテムにするのはどうだろう?喪服の黒紋付きの布を使うのは、持ち主の想いと合うだろうか?そういうことを考えながら、柄の意味や布の背景をできる限り尊重し、選ぶようにしています。
また、素材によっても適した使い方がある。正絹のやわらかい生地は、上品なバッグや小物に。しっかりしたお召や紬は、丈夫なアイテムに。「この生地の良さを一番活かせる形は?」そんな問いを繰り返しながら、新しい命を吹き込む方法を探していきます。
ただのリメイクではなく、新たな価値を生み出す意識
リメイクというと、「古いものをそのまま作り変える」というイメージがあるかもしれません。でも、私はそこに「新しい価値」を加えたいと思っています。
例えば、着物の生地はとても繊細なので、ただバッグにするだけでは耐久性が心配。だから、強度のある接着芯を使ったり、使いやすいデザインを工夫したりする。
「昔の着物をただ残す」だけでなく、「現代の暮らしの中で、もっと愛されるものにする」ことを意識する。
そうすることで、ただの懐かしい布ではなく、新しい魅力を持つものへと生まれ変わるのだと思います。
作り手としてできる限りのリスペクトを持つ
着物を作った職人さんへの敬意を忘れずに。そして、これを使う人への思いやりも忘れずに。
「大切に着られてきた着物を、もう一度大切に使ってもらえるものにする。」
その気持ちがなければ、ただ布を切り、縫い直すだけの作業になってしまいます。だからこそ、ほどくときも、縫うときも、心のどこかで「ありがとう」と思いながら作る。布の歴史に敬意を払いながら、新しい形へとつなげていく。
そんな想いでリメイクを続けていきたいと思っています。
最後に、作り手としての想い
着物をリメイクするたびに、その布が歩んできた時間に思いを馳せます。誰かが大切な日のために仕立てたもの、特別な思いを込めて袖を通したもの。その着物が、時を経て私の手元に届き、また新しい形へと生まれ変わる——そこには、単なる「ものづくり」以上の意味があると感じています。
着物の持つ歴史を感じながら、新しい命を吹き込む
一枚の着物には、布を織る人、染める人、仕立てる人、そして袖を通した人——たくさんの人の想いが詰まっています。そんな着物をほどくとき、私はいつも少し緊張します。
「これで本当にいいのだろうか?」と、迷うこともあります。
でも、しまい込まれているより、今の暮らしの中で輝いてほしい。その想いを胸に、一針一針、丁寧に縫い直します。布の手ざわりを感じながら、「どんな形なら、もう一度愛されるだろう?」と考える時間は、まるで布と対話しているような感覚です。
新しい命を吹き込むことで、もう一度誰かの手に取ってもらえるなら、それは着物にとっても幸せなことなのではないか——そう思いながら、今日もミシンに向かっています。
「ただのリメイク」ではなく、「文化をつなぐ仕事」として
私にとって、着物リメイクは「古いものを新しくすること」ではありません。「日本の文化を、今の時代に合った形でつなぐこと」。
着物文化が少しずつ遠ざかっていく中で、その美しさや価値を、次の世代にも伝えていきたい。だからこそ、単なるハンドメイドではなく、「日本の伝統を未来へつなぐ仕事」だという意識を持っています。職人さんが手がけた生地に敬意を払いながら、今の暮らしの中で自然に使えるものに仕立て直す。そうすることで、着物の価値を未来へとつないでいけたらと思っています。
「一期一会」という名前に込めた想い
G3sewingの着物リメイクバッグには、「一期一会」という名前をつけました。
着物の生地は、一つひとつ違うもの。同じ柄でも、同じ配置にはならず、全く同じものを二つ作ることはできません。だからこそ、それぞれが唯一無二の存在。まさに、「一期一会」の出会いなのです。
手に取ってくださった方にとっても、「このバッグに出会えてよかった」と思ってもらえるように。そして、このバッグが、新しい持ち主のもとで、また新しい物語を紡いでいくことを願って。そんな想いを込めて、今日もひと針ひと針、心を込めて作っています。

👏👏👏
着物への想い、感動しました。
私も着物リメイクを習って
帯リメイクも趣味で作っています。
改めて着物への想いを勉強させていただきました。
着物や、帯を解くとき
多くの縫い方で仕立てあることにまずは感心します。
着る人の幸せを願って手間暇かけて縫われたのだろうなぁと感じます。
なので解くときには勇気がいりますが。
また、時代が変わって身につける事が少なくなった着物や帯ですがそのまま箪笥の中に眠ったまでは
可哀想な気持ちもします。
私は素人なので上手に、また沢山は作れませんが
そんな想いをもって
リメイクを続けたいと思いました。
トマト様。コメントありがとうございます。私たちもまだまだ知らないことばかりで、日々勉強させていただいています。日本の素晴らしい文化がこのようにして継続される形で、活かされていくといいですね。リメイク楽しく続けていけたら嬉しいです。いつもありがとうございます。